七十二候「桃始笑」えっと、笑う…?
本日3/11~3/15は七十二候「桃始笑(ももはじめてさく)」
桃のつぼみが膨らみ、花が咲き始める頃。
桜井輝子『日本の美しい色と言葉』より
花の時期が到来、春ですね。
…ところでなんで「笑」で咲く?
気になったので調べてみました。
「笑」と「咲」
実は「笑」と「咲」はもともと同じ意味で使われておりました。
なので「笑」にも“花が咲く”という意味があったようです。
もともとは二つとも”わらう・えむ”の意味でしたが、
花が開くことを口元がほころぶことにたとえ、”花が開く” 意味もできたそう。
しかもこれは日本に入ってきてからの話。
その時の言葉が「花咲む(はなえむ)」そして「花笑(はなえみ)」に。
なんてきれいな言葉なんだろう。
ちなみに7~8世紀の日本最古の歌集『万葉集』にも出てきます。
道の辺の 草深百合の花笑みに 笑みしがからに妻と言うべしや
(作者不詳 巻7 1257)
…まあ、この歌、意味は
「ちょっと笑いかけたからって勘違いしていい気にならないでよねー!」
という女性から男性への歌なんですが。笑
もっとちゃんと訳すと、「道のほとりの茂みの中にほころび咲く百合のように微笑みかけたからと言って、妻ときめてかからないでください」という…。何されたんだろ…。笑
ちょっと脱線しましたが、やはり百合が花開く美しさを「花がわらう」と表現しているのです。
この感性がやっぱり好きなんだよなぁ、と思うと同時に「花がわらう」って人間と同じように考えるのが八百万の神様を信じる日本人らしい発想だな、と感じます。
いずれにせよ素敵。
花も人も笑顔がほころび開く「咲」と「笑」
好きな字が増えました。
そして今更ながら女優の武井咲ちゃんの名前の読み方も納得。笑
「笑」と「咲」の語源
ルーツが同じなので、「笑」も「咲」も語源はほぼ同じ。
笑→竹冠の下の部分
咲→口偏の右の部分
が同じ意味(ちなみに「咲」の右の方は書き間違えてこの形になったとも)。
「(ショウ)」という字です。これ自体が「わらう」の意味を持っていたそう。
調べたところ2説ありそうなので両方ご紹介。
①神を笑顔にする巫女の舞
両手を挙げて体をしならせて舞い踊る巫女、を表したという説。
その舞を捧げて神様に「笑って」喜んでもらうそうです。
中国が語源のはずなのにちょっとアメノウズメちゃんを意識 してしまう。
②「口を細くすぼめる」の意味
「ショウ」の文字には細くすぼめるという意味があり、
口偏と合わせて口を細くすぼめて息が出る様子、つまり「ホホホ」と笑う様子
何かを表しているとか。
(「笑」にももともと口偏がついてたという話も)
個人的には①が好き。
ちなみにアメノウズメは『古事記』に出てくる女神様。
芸能の神様です。
アマテラスオオミカミが天の岩戸に引きこもっちゃった時に(これが誰がどんなに説得しても出てこないんだなー)、外で裸踊りして岩戸に集まってた神様たちをどっかんどっかん笑わせて盛り上げました。
あまりの盛り上がりっぷりにアマテラスオオミカミは気になって岩戸をちょっと開けてしまい、そのすきに力持ちの神様に引っ張り出されます(実際にはもうちょっと間にやりとりがある)。
しかしこれで闇しかなかった世界に光が!世界を救った神様といわれることも。
おわりに
さてさて長くなっちゃいましたが今日はこれでおしまい。
七十二候からだいぶ発展してしまった。
ちなみに最初の写真は、昨年に小金井公園でみた桃の花です。
桃と桜のコラボが見られるんですよー!!
3.11の今日この日に、この春と生命の息吹の喜びを思い起こす七十二候、
この漢字の意味を確認できたことがなんだか運命だなぁ、 と思います。
東日本大震災を追悼し、語り継いでいくことはとても大事。
でもこの日をこの先ずっと悲しみにくれるだけの日にしてもいけな いと思うのです。
被災地の復興支援はもちろんですが、花が咲くように、 笑顔で明るい未来を紡いでいくことも今の私たちにできること。
〇今回のご紹介
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・参考サイト
暦生活 二十四節気と七十二候
https://www.543life.com/season.html
漢字カフェ 漢字コラム5 春。花は咲き、山は笑う
https://www.kanjicafe.jp/detail/6830.html
・スポット